東京ジンギス倶楽部 '00年初屋外ジンギス 2000年3月

 3月某日、東京ジンギス倶楽部北海道支部長のまなぶからF_SIMM君のところにラム肉が送られてきました。いままで彼から送られてきた支援ジンギス肉は、丸い成形肉と味付けが多かったのですが、今回は生のスライス肉です。なんでも美味いと評判の肉屋で仕入れた肉で、店のおやじさんも自慢の肉とのこと。
「ぜひ喰ってみてくれ」という頼もしい言葉に我々倶楽部員は色めき立ちました。
 この肉はぜひ、最高のシチュエーションで食べなければ……。

 そこで3月とはいえまだ多少肌寒さが残る荒川河川敷で、今年初めての『河原でジンギス』を決行することにしました。参加人数は大人6人、子供4人の総勢10人。送られてきた肉は2キロ。しかし、最近上品な肉ばかり食べているlamuo男爵が「肉のハナマサ」から丸い成形ラム肉も買ってきました。将来のジンギス好きたち
 河原に到着し、準備ももどかしく、さっそく『河原でジンギス』の始まりです。
「ジュ〜〜〜ッ!」という今年初めての幸せの音。さっそくまなぶご自慢の肉を食べてみましょう。おっと、その前に今回はジンタレにF_SIMM君の御母堂が用意してくれたリンゴ、ニンニク、ニンジンの擂り下ろしを入れて、準備OK。

 ん〜〜〜〜〜っ美味い! 肉はあくまでも柔らかく、それでいて噛めば噛むほど羊の香りが口中に広がっていきます。擂り下ろした薬味もジンタレをフルーティにしてまさに絶品。野菜もいい感じで焼けてきました。
 ビールをゴクリッ! 口中の油がビールで洗い流され、のどを通っていきます。美味しさに思わず空を見上げれば、春めいた雲が流れていく。春の日差しに照らされて体も心もポカポカしてきました。幸せってこういうことをいうのかなぁ……、とシミジミ思いながら肉を一口、もう一口と頬張っていきます。

「そろそろいいかな……」という声にフッと見るとlamuo男爵が「ハナマサ」の肉を持って嬉しそうに立っていました。「やっぱり焼くの?」と聞くと「もちろん!」と肉をジン鍋に投入。解凍が十分でなかったため、水っぽい汁を出しながら焼けていく肉をlamuo男爵は嬉しそうに見つめています。
「やっぱり俺はこの味が好きだ」とつぶやきながら肉を頬張るlamuo男爵につられて、F_SIMM君の妹も箸をのばし、子供の頃から慣れ親しんだ肉の味に「やっぱりこれがジンギスカンの味ね」と納得。lamuo男爵もその言葉に「我が意を得たり!」と大きくうなずいたのでした。
大満足の一同 しかし、そのあとで妹が一言「でも、美味しいかどうかは別よね」
 僕も久しぶりに食べた感想は「やっぱり臭いな……。」
 解凍が十分でなかったせいか、冷凍技術の問題か、どうも食べたときに鼻をつく匂いが気になって、昔のように300、400gは食べられないな……と感じてしまいました。僕の舌が贅沢になってしまったんだろうか……? F_SIMM君も「やっぱり匂いが気になる」という感想でした。
 それでもlamuo男爵は「また買ってくる!」と頑固に言い放っていました。

 まなぶの送ってくれたジンギス肉は、さすがは北海道の人間が自信を持って送ってくれただけあって、柔らかく羊の香りも十分で、今まで食べた中でも最高の肉でした。今回のイベントはまなぶに感謝!!


春うららか、満足のお花見ジンギス 2000年4月

 4月2日日曜日。天気晴れ。
 今日はYAHOOの掲示板で呼びかけた『東京ジンギス倶楽部』初めてのオフ会になる予定でした。
 前日の寒さが嘘のようなぽかぽか陽気。靖国神社の桜はまだほとんどが蕾だというのに、会場に予定した練馬の光ケ丘公園はすでに五分咲き。まさにお花見日和です。
 しかし、掲示板でのオフ会参加希望者は寂しいことにゼロ。ただし今回初参加の家族もいたので、なんとかオフ会っぽい雰囲気はできました。
 11:30、長蛇の列ができている公園の駐車場前で待つこと30分。ようやく駐車場に車を入れて、目指すは公園のバーベキュー広場です。
 公園内はあっちでもこっちでも、花見でにぎわう人たちがもうすでに盛り上がっていました。われわれも大急ぎで場所とりを……と意気込んだのですが、バーベキュー広場には桜の木の下がないせいか、広々と空いていました。
 今回の人員は5家族、15人です。ジンギス肉はこのHPの通販情報で紹介している「羊肉のなみかた」さんのところの肉を取り寄せました。
 肉の内訳は国産サフォークもも、生ラムショルダー・もも、生マトンもも、冷凍マトンもも・リブロース、それになみかたさんご自慢の味付けジンギスカンの義経焼き。総量2.1kg。
 これだけの人数なので鍋がひとつでは到底賄いきれないと思い、今回は七輪と鍋を二つ用意しました。
 
 さっそく炭をおこし、鍋にラードをのせて、まずは幸せの音。
「ジュ〜〜〜〜〜〜ッ!」
 今回ジンギスカン初体験の家族もいるので、最初は癖のない国産サフォークももから。
 早く焼けろと注視する30の瞳……。おもわずゴクンと喉が鳴ります。最初の肉が焼き上がりました。
 今回も市販のジンギスタレに、薬味は『川原でジンギス編』で好評だったニンニク、リンゴ、ニンジンの擦りおろし。
「いただきま〜〜〜〜す」
 焼けた肉をタレに浸けてパクリッ。間髪を入れずによーく冷えたビールをゴクリ!
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜美味い!」
 やっぱりジンギスにはビールだよなぁ……とあらためてその取り合わせの妙に感心。
 初めてジンギスカンを食べた平沼さんも「羊って案外美味しいのね」と嬉しい感想。子供たちも早く次の肉が焼けろと矢の催促です。
 
 まわりの桜を眺めながらビールをさしつさされつ、ジンギスカンを食べる。宴会をする団体の嬌声があちこちで聞こえ、子供たちは走り回り、陽気はうららか。
 まさに一年でも今だけの楽しみではないでしょうか。これぞ「お花見ジンギス」。
 でも驚いたことに、デリバリーのピザやお弁当を、花見会場に持ってきてもらうグループがけっこういるんですね。そんなところに持ってきてくれるということにも驚いたのですが、聞けば小学校の運動会にもピザを頼む親がいるとか……。なんとも風情のない光景でした。
 
 あっという間にサフォーク400gがなくなり、続いて生ラムもも、やや油の多いショルダー、そして生マトンと、ジンギスカンはだんだんハードな肉へと移行していきました。
 冷凍マトンは一番癖があり、さらに肉が硬い。平沼さんもさすがにこれには箸が遠のいてしまいました。我々会員にしてみたら一番嬉しい味なんですが、肉の硬さを考えると前回「川原でジンギス」で食べた肉の方が、しっかり羊の味がしてしかも柔らかく、あれが一番という意見で一致しました。
 
 最後は義経焼き。これは羊の薄スライス肉(1人前200g)を、同封の味噌ダレでよくあえて焼くという、「羊肉のなみかた」オリジナルのちょっと変わった味付けジンギスです。
 キャベツなどの野菜を一緒に、しかもたくさん焼くと美味しい、というなみかたさんのアドバイスで大量のキャベツを投入。味噌ダレがけっこうしょっぱいので、野菜からでる水分で中和されて程よい塩加減になります。
 子供にもわりと受け入れられていました。とくに平沼家の3歳の子供がバクバクと食べていて、将来の倶楽部員になるやもと、ほほ笑ましくもありました。
 
かろうじておさえた記念写真 用意した肉も全部はけ、一同大満足のそのとき、突然F_SIMM君の「しまった!」の声。
 せっかくデジカメを持ってきたのに、空腹と興奮で、写真を撮るのをすっかり忘れていました。
 しかたがないので全員の集合写真だけを撮り、その後もビールを飲みながらほげほげとしているうちに4時をまわり、さすがに肌寒くなってきたのでてきぱきと撤収。
 ここでうちの娘が迷子になるアクシデントがあったものの、無事見つかり、今年の「お花見ジンギス」は盛況のうちにお開きとなりました。

 
 やはり良い季節での屋外ジンギスはいいものですね。今年の成功に気を良くし、来年はこのHPを盛り上げ、さらに盛大なオフ会として行いたいと思います。


シリンゴルのビラモンゴルは羊好きの桃源郷? 2000年4月

モンゴル料理を食べてきました。
皆さんはモンゴルというと、どういったイメージを持っているでしょうか。
大平原を駆ける遊牧民、チンギスハーン、モンゴル相撲出身の旭鷲山……。
しかし、モンゴルの人たちが普段何を食べているのか、知っている人はかなり少ないと思います。

そこで、東京ジンギス倶楽部グルメ探検隊が皆さんの疑問に応えるべく、都内でも唯一といわれているモンゴル料理専門店を探検して参りました。

場所は巣鴨駅から徒歩10分ほどの住宅街の中、「こんなところに?」というような場所に目的の店、モンゴル料理専門店「シリンゴル」はありました。
時間は午後7時半、中にお客は誰もいません。(ちょっと不安)
店に入る階段にジンギスカン鍋が吊るしてあったので、東京ジンギス倶楽部の我々探検隊は「本場風のジンギスカンもあるのか……!?」と心躍らせながら突入。
店内はイス席と座敷で30人位も座れるでしょうか。
我々はモンゴルの遊牧民のテント、ゲルを模した座敷に通されました。

まずはスーテーツァイというモンゴルミルクティが出されました。
これはモンゴルでは水代わりという説明を受け、味は多少の塩味がついています。
テーブルにはボーブというモンゴルの揚げ菓子がおいてあり、これはスパイスが多少利いていてほんのりと甘さが感じられる、プレッツェルのようなお菓子です。

シリンゴルのメニューメニュー登場。
見ると肉はほとんどが羊肉。そして野菜やうどんなど。どうやらモンゴルの人たちは羊肉と野菜を食べて暮らしているしい。
ハロントガ(羊肉のしゃぶしゃぶ)、チャンサンマハ(骨付き羊肉の塩茹で)、ショルラッグ(羊肉の串焼き)、バンシ(水餃子)・・・・・・etc.
我々は当初の目的であるチャンサンマハ、ハロントガ、それにショルラッグ、ボーズ(モンゴル肉饅頭)、さらにソンゲンデ・マハンホーラック(玉葱と羊肉の炒め物)を注文。
聞くと、ジンギスカンは日本のものでモンゴルにはないということでメニューにも載っていませんでした。(ちょっとがっかり)

どれも量が半端じゃない。
3人でしゃぶしゃぶと塩茹でを2人前づつ(ほかは一人前)頼んだんだけれどとても2人前とは思えない量で、探検隊としては悔いながら多少残してしまうくらい の量です。
塩茹でにはびっくりしました。長さ20センチくらいのでかい骨付き肉がドンッと出てきて
「できればかぶりついてくれ」とのこと。噛めば噛むほど羊の美味さが口の中に広がりかなり野趣溢れる料理でした。

馬乳菌と牛乳を混ぜて発酵させたアイラグというヨーグルト風味のお酒を飲み、気分はすっかりモンゴルの遊牧民です。
8時過ぎには馬頭琴の生演奏もあり、かなり満足しました。
でも、羊嫌いには無理な店でしょうね。


キャンプでラムチョップステーキほかに挑戦 2000年5月

G.W.キャンプの夜 前から気になっていたラムチョップステーキ。「羊肉のなみかた」の通販で特別販売で売っていたので買いこみ、G.W.のキャンプで食べてみました。
 値段は8本入って2000円。1本80〜90gといったところでしょうか。
 今回は特別販売ということでイタリアはシシリー島の「サルデロッチャ」という岩塩が付いてきました。
 この岩塩、粒は細かくサラサラしていて、舐めると塩っぱさの中にほんのりとした甘味があり、いかにもミネラルがたっぷり含まれている、という味わい。ステーキの美味しさは焼き加減よりも塩加減、といわれているのでこれは楽しみです。
ラムチョップを網焼きで 今回はキャンプの献立のひとつなので炭火焼き。そして網焼きとステーキには最高のシチュエーション。網を十分に熱して、いつ焼いてもいいようにスタンバイOK。
 肉厚のラムチョップには塩を強めに……。
 F_SIMM君がこれでもかというほど「サルデロッチャ」をふりかけ、網の上にジュ〜〜〜。

炎があがります 脂が火に落ちて炎がボッとあがります。脂が多いせいか炎はなかなか消えません。
 肉をひっくり返してちょうどミディアム程度の焼き具合で出来上がり。適度に脂も落ちてじつに美味しそうです。
 さっそくひと口。思った通りやや塩を振りすぎて塩っぱいものの、肉は柔らかく噛みしめると肉汁がジュワッと口の中に広がり、じつに美味い。外側は網目がつき、中はピンク色のミディアムで焼き加減も抜群です。
この上なく幸せそうな会長 骨についた身を食いちぎる。どうして骨についた身って美味しんだろう。噛めば噛むほど羊の美味みがあふれ出し、自然と頬が緩んでしまう。美味しいものを食べると微笑んでしまうのは本当なんだなぁ……と改めて実感する。
 みんなに勧めると、美味い美味いとあっというまに8本がなくなってしまいました。

 次に取り出したのは
「羊肉のなみかた」オリジナルの羊のたたき。
 これは実際に商品としては流通していない、おまけの品です。
 封を開くと中には100gの肉の塊。たたきというだけあって表面があぶってあります。
 ニンニク醤油、ポン酢などでお食べ下さいと説明に書いてあったので今回はポン酢でさっぱりといただきました。
 ポン酢は関西ではその名も高き「朝日ポン酢」。しかも今回はさらに美味しいと評判の一升瓶入りを用意しました。
 さっそく3mm位の厚さに切っていきます。全部で14切れに切れました。
 肉の部位はももでしょうか。脂のないきれいな赤身です。当然中はレアの状態。
 ポン酢に浸して食べてみると、ほのかにニンニクの香りが鼻をつき、口中をポン酢の酸味が駆けぬけます。
 肉を噛みしめるとジュワッと肉汁があふれ、羊の香りがニンニクの香りと合体し、そこにポン酢がさっぱりとした酸味で応える。噛めば噛むほど三味一体となった味が口中に溢れ、飲み込むのがもったいないほどです。
 これは美味いともう一切れ、いやいや二切れいっぺんに……と思ったのですが、いかんせん今回は食す人数に比べて肉が少なすぎました。
 でも、これならば新鮮な羊もも肉の塊が手に入れば自分でも作れそうです。
 羊もも肉の塊にニンニクをすり込み、表面をサッとあぶれば(できればワラで)できあがり。こんな簡単で野趣溢れる料理はキャンプにうってつけ。ニンニク醤油やポン酢はお好みで。
 
 ラムチョップステーキ、西洋では高級食材のひとつというのも大いにうなずけました。キャンプの定番になりそうです。そして羊のたたきは新しい羊の味を発見、という感じでした。ぜひとも正式商品としてラインアップしてほしい一品です。


金太郎玉砕も、執念実って屋上ジンギス 2000年5月

 5月のある蒸し暑い日、時間は夜7時半。ときおり吹く風がようやく昼間の暑さを癒し始めたころ、最高顧問と会長の二人は新橋駅SL広場に立っていた。
 この二人が揃うということは、そう、目的はジンギスカン以外の何者でもない。

 ある日、東京ジンギス倶楽部掲示板に新橋に「ジンギスカン金太郎」という店がある、との情報が寄せられたので、さっそく調査に乗り出したというわけである。
 掲示板に寄せられた情報によるとその店は、新橋は烏森口、キムラヤの横を入ってすぐの怪しい風俗店の隣にあるという。
 歩くこと10分あまり。風俗店のネオンにばかり目を奪われてなかなか見つけられない。呼び込みの兄ちゃんに袖を引っ張られながらウロウロとあたりを2周ほどしたとき……ありましたありました!
 大きな真新しい看板に大きく「ジンギスカン金太郎」の文字が。
 隣の「A太郎」という風俗店のネオンがあまりにもギラギラと怪しく光っているので、そちらに気を取られて、つい見落としてしまっていたのだ。
 今日はこの調査のために昼食は軽く、もちろんおやつなども食べず、我々の腹はすっかりジンギスカンにセットされている。2人前、いや、3人前は食べようか……などと軽口をたたきながら人込みをかき分けるのももどかしく、小走りになって店に向かっていった。
 しかし、店の様子がどうも変だ。隣の派手なネオンとの対比にしても静かすぎる。まさか…………。
えぇ〜! 臨時休業? 入り口のガラス戸が閉められている。だが、中におやじはいる。
 ガラス戸を開けようとしてガラスを見ると…………ガ〜〜〜〜ン!
 そこには本日臨時休業の張り紙が。
 明日は17時から営業しております。との書き込みも。
「おやじ、明日じゃなく今日開けてくれ!」
という願いを込めて恨めしそうにおやじを見つめるも、おやじはこちらの視線をそらすようにそっぽを向いてしまった。
 ショックのあまり店の前で呆然と立ち尽くす調査隊。
 このジンギス腹をどうしてくれよう。
「しょうがない、どこか居酒屋でも入るか」という最高顧問の言葉に、はっと我に返り、ともすれば崩れ落ちそうになる膝をお互いに支え合い、よろよろとその場を後にした。 
 歩けども歩けども入る店が決まらない。ジンギス腹が我々の判断を鈍らせているのだ。腹の虫もジンギスカンを求めてグ〜グ〜と鳴いている。空腹で目はかすみ、足取りもいよいよ怪しくなっていく。
 
 と、そのとき、最高顧問が
「そうだ! 有楽町にジンギスカン食べ放題のビアガーデンがあるって聞いたぞ!」と叫んだ。
 なぜそれをもっと早く思い出さない。
 突然我々の目の前に天使がラッパを吹きながら降りてきたような、希望の光が差し込んできた。
「有楽町といえば隣の駅。よし、歩くか!」と意気込む最高顧問を制して、まずは電話で営業しているかどうかを確認。
 やっているとの嬉しい答えに、やはり歩くよりも電車の方が早かろうと、電車で有楽町に向かった。
「今日は暑かったから、ビアガーデンに入るのに、30分待ちですなんて言われるかもね」
と不吉なことをいう最高顧問。どうやら臨時休業のショックと空腹で、悲観論者になってしまっている。
「大丈夫、大丈夫」となんの根拠もない相づちをうって、向かうは新有楽町ビルヂング。
 ここの12階にお目当ての「ブリアンビアテラス」があるはず。
 場所はすぐにわかった。有楽町そごうのすぐ目の前。ビルの入り口に近づくと、ありました、ありました。ジンギスカン食べ放題の看板が。
 またもや小走りにビルに入り、エレベーターで12階へ。エレベーターを降りてすぐのカウンターで
「ジンギスカンですか、それともアラカルトですか」
とお姉ちゃんが聞いてくる。
「ジ・ジ・ジンギスカン……」
興奮のあまりおもわずどもってしまう。
 ビアガーデン入口には大きな看板でサッポロビール園ジンギスカンと書いてある。
 おぉ、ここはあの有名なサッポロビール園……。ヘンに感動している札幌出身の最高顧問を則して案内されるままにジンギスカンコーナーに歩を進めた。
ビアテラス入り口 客はアラカルトコーナーに2組4人。ジンギスカンコーナーには誰もいない。アルバイトの従業員が3人所在なげに立っていたが、我々が来ると嬉しそうに近づいて来て、システムを説明してくれた。
 
 システムはこうである。
●ジンギスカンは食べ放題。大皿の肉と野菜が無くなったら新たに持ってきてくれる。
●ビール、レモンサワー、ジュース、ウーロン茶が飲み放題。これは空のジョッキを持っていって自分でもらってくる。
●料金は2900円。(消費税込み3045円)
●ラストオーダーは食べ物も飲み物も9時30分まで。
●その他、アラカルト(ピザ、焼きそば、枝豆など)も別料金であり。
 
「ここはサッポロが経営しているんですか」と聞くと
「ニュートーキョー(各地でビアホールを経営している大手)です。でも、ビールはサッポロです」という答え。
 
 プロパンガスのコンロにジンギスカンなべはすでにセットされている。
 よくみるとなべにはビア・ステーション恵比寿と刻印されていた。
 今は恵比寿ガーデンプレイスになってしまっているが、それまでは我々もときおり利用していた、あの恵比寿のサッポロ工場にあったビア・ステーションのなべがこんなところに……。
 またもや感動している最高顧問。6年ぶりくらいの再会であった。
 
 まずは生ビールで乾杯。空腹で喉も渇ききっていた我々の五臓六腑にビールがジワ〜っと染み渡る。
これが2人前1皿目 大皿(直径30cmくらい)にジンギスカンと野菜(もやし、キャベツ、ニンジン、ピーマン、かぼちゃ)が盛られて運ばれてきた。
 肉は冷凍のロールラム。おそらくオーストラリアからの輸入であろう。
 ラードをまんべんなくなべに塗り付け、肉をのせて幸せの音。
「ジュ〜〜〜〜ッ!」
 冷凍の成形肉なので嫌な臭いがあるかと思ったが、癖がなくてとても美味しい。タレはサッポロビール園特製のフルーティなタレ。
 美味い美味いと、あっという間に一皿食べてしまった。
 昼間の暑さが嘘のように、肌寒いくらいの風がビアガーデンを吹き抜けていく。小さいボリュームで、かすかに流れるオールディーズの名曲。まるで我々の貸し切りのような広いビルの屋上……。
マトンのかほりが漂う 二皿目がやってきた。
 最高顧問は「学生時代によく行った、ジンギスカン食べ放題のお店の匂いがする」と、またもや感動の面持ちで目を閉じて感慨にふけっていた。
 学生時代と違うのは、3皿、4皿と食べられたジンギスカンが、二人で2皿で満腹になってしまったこと。
「この年になると食べ放題ってそんなに嬉しくないね」と自嘲気味につぶやいて席を立った。
 けっきょくこの日、ジンギスカンコーナーに来たのは我々のほかに3組、6人だけであった。
 がんばれ! ジンギスカンビアガーデン。
 
 帰り際にカウンターのお姉ちゃんに
「ここはいつまでやってるの」と聞くと「8月いっぱいです」とのこと。
 夏の暑い日にもう一度来たい店である。
 
 最後に余談になるが、この新有楽町ビルヂングには「2002年ワールドカップ組織準備委員会」も入っていた。サッカー好きでもある我々とのなんとも因縁を感じるビアガーデンであった。


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