東ジンまたまた沖縄へ 2003年8月

 キャンプ大好き、沖縄大好きの東京ジンギス倶楽部幹部連。
 8月は会長自身と最高顧問の長女の誕生日ということもあり、誕生日割引の航空券を手に入れて、今年もみんなで沖縄に行ってきました。
 参加したのは会長家族、最高顧問家族、ラムオ男爵、特別会員のTamm氏という大人6名、子ども4名の大所帯。
 ただ、キャンプするのは会長、最高顧問、ラムオ男爵、Tamm氏という3年前の沖縄ジンギス・キャンプと同じメンバー。女房子どもたちはキャンプはつらいというので民宿に泊まる。
 
 今回の予定は8月27日から30日までの3泊4日。うちわけはキャンプ2泊の民宿1泊。
 場所は3年前と同じ阿嘉島。だが、今回は前回のニシバマではなく、去年会長が家族で行って感激したヒズシビーチというほとんど観光客の来ないひっそりとしたビーチ。
 本当は今回こそ「ムカラク島」という無人島でキャンプをしたかったのだが、割引航空券が午後の便しか取れず、阿嘉島到着が夕方になってしまうのでスケジュール的に無人島に渡してもらうのは無理ということでそのビーチに決まったのだった。
 
 ラムオ男爵とTamm氏はダイビングを楽しむために一足先に現地に赴き、27日当日出発は会長家族と最高顧問家族。取れた便が別々で、一便先に行く最高顧問が買い出し部隊となり、フェリー乗り場で集合という段取り。
 夜の献立は当然ジンギスカン。今年も山形の「羊肉のなみかた」に肉を注文し、民宿に送ってもらう。
 今回注文したのは「ショルダースライス」400g、「ラム肩ロース」300g、「サフォークジンギスカン」300g、それにラムチョップ用の「ラムラックブロック」8本分。
  
 とくにラムチョップは前回の沖縄キャンプでTamm氏が美味い美味いと大喜びだったので、今回も肉にしゃぶりつくTamm氏の姿が目に浮かぶようだ。

クイーン座間味
甲板に佇む会長
クイーン座間味甲板 座間味諸島 前方に座間味諸島が
見えてくる
ヒズシビーチ タープ 夕日 宴会
人の少ないヒズシビーチ
浜にタープ設営
見事な夕日が沈んでいく
タープの下で宴会


 買い出しの済んだ最高顧問家族と那覇の泊港で落ち合い、午後4時発の高速船「クイーン座間味」に乗り込んだ。
 午後4時、今年は海が荒れることもなく、予定通り阿嘉島の港に到着。
 港には地元民のように真っ黒に日焼けしたラムオ男爵が我々を待ってくれていた。
 船を降りてがっちりと握手。
 ラムオ男爵が民宿から借りてきた軽トラックの荷台に2家族8人と荷物を乗せて、軽トラはそろりそろりと民宿に向かった。
 
 民宿に着くとTamm氏が待っていて、さっそくキャンプ道具を軽トラックに積みヒズシビーチへ。
 「なみかた」に送ってもらってジンギス肉は今年も無事に民宿に着いていて、民宿でも親切に冷蔵庫に保管しておいてくれた。

 ヒズシビーチは阿嘉島の西にあり、道路からはけもの道のような細い急な下り坂を降りていかなければいけない小さな浜だ。
 阿嘉島に来る観光客のほとんどは慶良間諸島の有数なサンゴ礁や熱帯魚の群生する東側のニシバマビーチに行ってしまうので、このヒズシは地元の人間以外はあまりやって来ない。島の西にあるので水平線に沈んでいく夕日がとてもきれいに見える浜だ。
 去年はそんな浜に流木で作られたバーがオープンし、人のいないビーチでビールを飲んで、刻々と色を変えながら沈んで行く夕日を眺めてのんびりしたものだった。
 今年もそんな雰囲気を楽しみに浜に行ってみると、去年とはうって変わってけっこう人が多い。流木バーも話題を呼び、我々のようなリピーターが多く来ているようだ。
 
 重いキャンプ道具をもって、細くて急な下り坂を4人でえっちらおっちら運んでいく。これがけっこうつらい。下り坂でこんなにつらいのだから、帰りの上り坂はどんなにつらいだろうと考えると早くも憂うつになる。
 設営は慣れたものであっという間に完成。(といってもタープ1張だけだけど)
 さっそく夕餉の仕度にとりかかる。野菜をザクザクと切り、炭に火をおこしジン鍋をセットすればあっという間にでき上がり。これがジンギスカンのお手軽で良いところだ。
 ジン鍋が熱くなったところで周りに野菜を敷き詰め、空いた真ん中の頭頂葉の部分にまずは脂身の多いテムジンをのせる。
 
 ジュ〜〜〜〜〜〜!!
 
 幸せの音とともに羊の脂の焼ける甘い匂いがあたりに立ちこめる。沖縄の夏の暑さに『オリオンビール』が美味い。この『オリオンビール』、東京で飲むとたいしたことがないのに沖縄で飲むとどうしてこうも美味しく感じるのだろうか。
 みんなこれからのキャンプ生活の期待に会話を弾ませながらジンギスカンを肴にビールを空けていく。
 ジンギスカンは「テムジン」から「生マトンももじん」そして高級な「サフォーク」と次々と焼いては食べていく。
 冬の北海道で食べるジンギスカンは人をホッとさせるが、夏の暑い沖縄で食べるジンギスカンも、また野趣に溢れていて心がウキウキしてくる。
 
 気がつけばあたりはすでに夜のとばりが下りていた。今日はくしくも何万年に一度かの火星大接近の日だ。しかも新月で月あかりがないから、星の輝きがいっそうよく見える。
 空を見上げると東の空にひときわ明るく黄色に輝く大きな星。あれが多分火星だろう。真上には薄雲と見まごうばかりの天の川が見える。西の水平線の上にはさそり座が鎮座している。いったい何百個の星が肉眼で見えているのだろうかというほどに空は星だらけ。まさに満天の星である。流木バーに来ていた若い女性がふらりと近づいてきて世間話。北海道出身で半年前からここに来てアルバイトをして暮らしているのだという。「ジンギスカンのHPやってるんだよ」と教えてやると「さっそくチェックして書き込みますね〜」とうれしそうに去っていった。
 
 ジンギスカンを全て平らげ、お腹が苦しいといっていたTamm氏だが、ラムチョップを焼き始めると目の色が変わった。案の定肉にむしゃぶりつく。「なみかた」がおまけで付けてくれた「シシリーの塩」と粗びき黒胡椒を振っただけのシンプルな味付けなのだが、この塩がしょっぱさの中にほのかに甘味に近い味わいがあって奥が深く、ラム肉の旨味を引きだしてくれている。
 一人2本の割当なのだがそれもあっという間に食べ尽くしてしまった。
 

夕景 ジンナベ1 ジンナベ2
ヒズシビーチの夕景
焚き火台+ジンナベでジンギス!
海辺でのジンギスは格別

 夜も更け、泡盛を飲みつつ満天の星の下、簡易ベッドに寝っころがり星空を見上げれば、あっちにもひとつ、こっちにもひとつと星が流れていく。
 最高顧問のもってきたiPod接続の携帯スピーカーから流れるネーネーズの曲が波の音とシンクロして耳に心地良い。
 
 大自然の天体ショーと心地良いBGMに包まれて、いつしか我々4人は眠りについていたのだった。


会長、信州新町に遠征 2003年10月

「信州新町」というところをご存知ですか?

 信州という名前がつく通り、長野県は長野市の西に位置し、北アルプスを望む総面積約71平方km、人口6,000人ほどの自然に溢れた小さな町である。
「信州新町」の正式な名前は「信州新」町なのか、「信州新町」なのか・・・。
「信州新町」ならば正式には東京でいうと「奥多摩」町とか「日の出」町のように「信州新町」町と呼ばれるはずである。ところが、役場のホームページや観光協会の公式資料を調べてみても、いずれも信州新町としか出てこない。
「信州新」なんて変な名前だなぁ・・・と思ったら、ひとつだけ同じような名前で思い当たる地名があった。

「北海道」である。

 小学校の社会の授業で習ったように、「道」というのは「県」や「都」「府」と同じもの。
 つまり北海道は「北海」が正式名称で、本来ならば「ご出身は?」と聞かれたら
「東京です」「大阪です」などと答えるのと同様に「北海です」というべきところであるが、北海道出身者でそのように答える人はいない。
 同じようにたぶん信州新町の人も出身を聞かれても「信州新です。」などと答える人はいないであろう。
 
 そんな「信州新町」と「北海道」にもう一つの共通点がある。
 なんと「ジンギスカン」を郷土料理としているところである。
 
 北海道でジンギスカンが郷土料理となった経緯については、東京ジンギス倶楽部でもいろいろと調べてこのホームページにも掲載されているが、信州新町で「ジンギスカン」がどのようにして郷土料理になったのか。
 平成9年度の緬羊協会の資料によると
『古くからめん羊飼育の歴史が有り、かつては「めん羊の市場」が開設されていたほどだった。昭和36年以降はめん羊の飼育頭数が激減したが、57年からは町の活性化事業の一環として「めん羊の町−ジンギスカンの町」として町が積極的に指導し、「めん羊生産組合」を設立、また、「町営左右牧場」を造成し、めん羊飼育農家からの預託事業も始めている。さらに、難しい繁殖期の飼育管理を軽減するために「めん羊繁殖センター」を建設するなど、町としての指導奨励及び補助事業として敬意を払うものである。』
とある。
 ラーメンや餃子での町興しのように、「ジンギスカン」で町興しをしようとの役場の指導がうまくいっているということであろう。
 この辺は庶民の食べ物として定着している北海道とはちょっと違うような気もする。
 
  東京ではないものの「ジンギスカン」を町興しにしているとあっては、一度訪れてみなくては東京ジンギス倶楽部の名がすたる。
 というわけで、10月の最終土曜日に行ってまいりました。
 
 今回は会長の勤めるデザイン事務所の有志による「グルメツアー」という名目で、会長含めて男性2人に独身女性4人の総勢6名での旅行。
 我々男性陣にとってはまさにハーレム状態の嬉しいプチ旅行だ。
 題して『信州新町でジンギスカンを食べて、善光寺でお参り。おやつは小布施の栗三昧の満腹ツアー(温泉もあるよ)』
 ジンギスカンはネットで調べ、東ジンBBSでの意見も取り入れて『さぎり荘』に決めた。
 ここは信州新町で育った羊が食べられる店だ。
 
 朝8時、池袋駅西口芸術劇場前に集合した6人は会長の車で軽やかに出発した。
 練馬から関越道に乗って長野に向かってひた走る。
 関越道から上信越道にのり、横川サービスエリアを越えたあたりから山が紅く色づきはじめてきた。
 今年の秋は暖かかったので10月では紅葉はまだ楽しめないと思っていただけに、車内のみんなから歓声があがる。
 カーナビの指示にしたがって更埴インターチェンジを下り、あとは延々細い山道をクネクネと進んでいった。車一台がようやくすれ違うような道を通り、農家の庭先のようなところを通り、ようやく広い道に道に出たら、そこは国道19号線。
 なんのことはない、多少遠回りでももう少し先のインターチェンジを下りて国道19号線に出て走ったほうがよっぽど早かった。
 カーナビとしては最短距離を教えてくれたのだろうが、こういうところは意外と不便かもしれない。
 
 19号線に出て15分も走ると信州新町に入った。さらにカーナビの指示にしたがって走ると、ほどなく『さぎり荘』に到着。
 ここは「ジンギスカン」と「手打ちそば」を売り物にしている温泉で、宿泊施設もそろっている。
 なのになぜか入り口横には、羊ではなくヤギのブロンズ像がたっていた。
 不思議だ。
 
 入り口を入り、長い廊下を歩いていくと食堂があった。入ろうとすると宿の人がジンギスカンはさらに奥の食堂だという。
 さらに進むとゆうに100人近くは入れるだろうか、大きな食堂がある。入るとプーンとかすかに羊の薫りがする。
 お昼時だというのに広い食堂に先客は2組だけ。
 テーブルは焼き肉風のロースターになっていて、中にジンギスカン鍋が入っている。でも、ジンギスカン鍋というよりも韓国のプルコギの鍋により近い形をしている。
 窓際に座りメニューを見ると要予約の「サフォーク4000円コース(ステーキ・骨付ステーキ・スライス肉・サフォークジンギス・串焼き・肉刺・焼野菜・キムチ・サラダ・ワイン・フルーツ・そば・酒1本 )」「サフォーク3000円コース(骨付ステーキ・スライス肉・サフォークジンギス・串焼き・肉刺・焼野菜・サラダ・ワイン・そば・酒1本)という豪華版の他に一般的なものとしてジンギスカン(サフォーク)1000円、ジンギスカン(マトン)550円、サフォーク定食(ジンギスカンにご飯やみそ汁が付いた定食)1400円、サフォークタップリ定食(肉が1.5人前)2000円、骨付きステーキ(いわゆるラムチョップ2本)1300円、ステーキ(サフォーク)1400円、肉刺700円、ジンギスカン丼700円。他に信州らしくそば三昧 (天ぷら付きざるそば)1300円、ざるそば500円となっている。
 ここのサフォークは地元で育てたラム肉で、国産のラム肉を食べたことがない会長としてはかなり楽しみだ。
 まずは肉刺し3人前に骨付きステーキを人数分とサフォークジンギスカンを6人前、それにビール。会長は車の運転のためにウーロン茶で我慢(つらい)。
肉刺し 骨付きステーキ
 肉刺しは牛刺しのような脂っぽさがなく、噛みしめるとほのかに羊の薫りはするものの、ほとんど癖がない。ほどよい弾力もあり、口に入れるととろけてしまうようなはかなさではなく、しっかり食べたという気にさせる逸品だ。
 骨付きステーキは塩・コショウで食べる。表面の色が変わったらひっくり返し、まだ中が赤いミディアムレア状態でかぶりつく。
 噛んだ瞬間肉汁がこれでもかとばかりに溢れ出す。肉汁があまい。柔らかい中にもほのかな弾力が奥歯を跳ね返す。骨付きの肉は人間のDNAに隠されていた太古の記憶を呼び覚ますのか、食いちぎると「こんにゃろめ!」と闘争心がわきあがり、興奮してくる。
 興奮状態の中、女性陣もあっという間に食べでしまった。
 もちろん「巧い!」「美味しい!」の大合唱。
 国産の羊は薫りも上品で、あまり癖がないぶん物足りないと感じる人もいるかもしれないが、とにかく肉として美味しい。
サフォークジンギスカン  そしていよいよサフォークジンギスカン登場。
 脂が赤い肉にきれいな模様を作っている。まるで抽象絵画のようなそのたたずまいにうっとりと見惚れる。焼き肉でいう「揉みダレ」がまぶしてあって、軽い味付けジンギスカンな感じ。
 つけダレはベージュ色でコッテリとしていて、ミソかゴマダレ風なたたずまい。しかし、舐めてみるとフルーティなやや甘めのタレだった。
「早く焼いてくださいよ。」
という催促の声に我に返り、肉を鍋にのせる。

ジュ〜〜〜〜〜〜〜ッ

 幸せの音が広い店内にこだまする。羊の焼けるいい薫りがあたりに漂う。
 表面の色が変わっただけの中がまだ赤い状態のままで、タレにつけてまずは一口。
 
 肉質は柔らかい中に適度の弾力があり、噛むほどに肉汁が口中にあふれる。羊の薫りも臭すぎず、あっさりしすぎず、十分に自己主張しつつ鼻を通り抜ける。
 美味い!
 国産の羊の実力を見た思いがする。
 みんなも「美味い、美味い」と貪り食うように食べる。あっという間に6人前が無くなってしまった。もう3人前追加。
 そのあと「やっぱり骨付きステーキが一番美味しかったね」ということになり、6本追加して食べた。
ジンギスカン丼  みんなもうお腹がいっぱいの中、会長はどうしても気になったジンギスカン丼を注文する。
 出てきたジンギスカン丼は、羊肉のバラ肉風のものと野沢菜を炒めたものがご飯の上にのっている。真ん中には彩りの紅生姜。
 一口頬張る。
 かなり脂っぽい。味はそれほど濃くはないが、とにかく脂がネチャネチャと口の中にまとわりつく。ある程度満腹になったお腹にこれはきつい。
 半分まで食べたがそれ以上は食べられなかった。年寄りにはつらい。
 他の一同は大満足で席をたった。
 
 この「さぎり荘」は温泉場だけに400円で日帰り入浴もできる。
 羊臭くなった髪の毛でも洗ってさっぱりしたかったのだが、まだこの旅のスケジュールが詰まっているのであきらめた。
 
 次の目的地の長野市に向かって19号線を走ると、ジンギスカンで町おこしをしているだけあって、街道沿いに「ジンギスカン」を食べさせる店が多い。
 羊肉に町の存亡がかかっているわけだから、この町の羊肉は気合いが違う。国産羊肉を手軽に食べられる、この信州新町にはまた来たいものだ。
 満腹のお腹をさすりつつ、我々はこの町をあとにした。
 
 その後、長野の善光寺をお参りし、小布施で栗菓子に舌鼓を打ち、小布施温泉穴観音の湯でサッパリと汗を流し、最後に信州そばを食べて東京に返ってきた。走行距離約500km弱。
 運転手にはつらい旅だったが、みんなの満足そうな顔で疲れも吹っ飛ぶ会長であった。

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