池袋に待望のジンギス屋さん登場 2004年10月
「幾寅」での取材風景
 今年(2004年)夏以降のジンギスカンブームには、我々東ジン一同も驚きを隠せない。
 新聞、雑誌はもとより、テレビの取材まで東ジンに寄せられて、基本的に人見知りであまり派手なことの好きではない最高顧問と会長は、ただひとつ東京ジンギス倶楽部の理念『ジンギスカンの啓蒙と普及』のために取材を受けてきた。
 9月に「夕刊フジ」の取材を本郷の『幾寅』で受けたときに、幾寅のオーナーから来月池袋に2号店を出す予定だという話を伺った。
 池袋といえば会長、最高顧問の住む街の沿線で利用しやすい。最高顧問もかねてから池袋にジンギスカン専門店が欲しいと願っていただけに期待大で待ちわびていた。
 いよいよ10月5日にオープンという連絡を受けて、東京ジンギス倶楽部としてお祝いの花を贈るとともに、初日は混むだろうからと1日おいた7日の金曜日に最高顧問とその事務所のスタッフを伴って行ってみた。

幾寅池袋の看板 店は60階通りを池袋駅を背にして歩き、東急ハンズの手前の道を右折。最初の交差点の手前左側のビルの5階にあった。注意して探さないとちょっと分かりづらい。
 エレベーターで5階へ。
 店の扉を開けると店内はかなりの広さ。4人掛けのテーブルが7つに6人掛けのテーブルが2つ。詰めて座れば50人は入れそうだ。本郷店の狭さを思うと、新店はとりあえず広いところにというオーナーの広さへのこだわりが伺える。ここならば忘年会や新年会も気兼ねなく行える。内装は白木のウッディな雰囲気でちょっと北海道っぽい。壁にはサッポロビールのポスターが貼ってあったが、さらにポスターやカヤックなどを北海道から取り寄せて壁に掛け、北海道らしさを演出するんだとか。椅子も丸太の切り株風でアウトドアな感じ。
 火は本郷店と同じ無煙ロースターを使っている。(できれば炭火にして欲しかったところだが・・・)
 メニューはと見れば本郷店とほぼ同じだが、デザートに「美味すぎるマンゴーミルクシェイク」というモノを発見。甘いもの好きの会長の目がキラーンと光った。
 お酒が充実しているのも本郷店と一緒だが、ビールに「サッポロクラシック」というのを見つけた。これはサッポロビールが北海道限定で売っている謂わばご当地ビールだ。値段は580円。
 みんなでそれを注文する。
店内1 店内2 無煙ロースター
 ジョッキに入った中生を想像していたのだが、出てきたのは350mlの缶ビールがそのまま。
 一同ちょっと唖然とする。
 そういえば以前市販の味付けジンギスを「北海道産の最高級ロース肉」と称して、とんでもない高い値段で出している店があったが、その店でも「サッポロクラシック」の缶ビールを600円という値段で出していたという、イヤな記憶がよみがえってきた。
 このビールは北海道限定販売だけに北海道から独自に取り寄せているんだろうけれど、どうも缶ビールが600円くらいというのは割高感がありすぎる。2杯目からは普通の生ビールに替えた。
 
焼いている風景 まずは生ラムと野菜盛りを注文する。値段は本郷店と同じで生ラムが480円、味付けのバラ480円、ロース580円と相変わらずリーズナブル(消費税別)。マスターが「マトン肩ロース」もありますが、というのでそれも注文してみる。この肉は実は東ジンが幾寅に紹介した肉だ。
 マトン肩ロースはマトンだけに羊の香りも十分で噛みしめるとジューシーな肉汁があふれ、とても美味しい。
「680円で出そうと思うんだけどどうでしょう」
というマスターの問いに「絶対に行けます!」と太鼓判を押した我々であった。
ジンギスカンビビンバ 評判の「石焼きジンギスビビンバ」も注文する。980円。
 石焼きビビンバに味付けジンギスカンの肉と独特のタレがかかった逸品で、よーく混ぜて食べると甘辛いタレが器の熱で焦げて香ばしい匂いが食欲をそそる。器の縁にご飯を押し付けるとおこげができてそれもまた美味しい。肉は味付けだけに軟らかく野菜ともいいハーモニーを奏でている。ビビンバとジンギスカンを合体させた、まさにアイデアの勝利といっていいものだった。
 最後にデザートを注文する。
 会長は当然最初に目をつけていた「美味すぎるマンゴーミルクシェイク」。ところが今日は売り切れという返事。
 売り切れってほぼ開店と同時に入ったのに・・・とぶつぶつ文句を言いつつ「ゴマ白玉アイス」(420円)に変更する。ところがこれが美味しかった。ゴマの風味たっぷりのアイスに白玉が清涼感を与えていて、見た目も洗練されている。味も甘すぎずゴマのくどさも程々に押さえられていて上品な味わい。たちどころに機嫌が直る会長であった。

 池袋唯一の専門店、生ラムも味付けも楽しめる。さらに一品料理もお酒も充実している・・・。主に池袋を徘徊している我々にはとても嬉しい店の登場だ。
 本郷店、池袋店ともに年中無休で、マスターは2つの店を原チャリで行き来するという。とてもハードな毎日になりそうだが、何とか頑張って成功して欲しい。
 ちょっと分かりづらい場所にあるのが難点といえるが、ジンギスカンのブームに乗ってどんどんお客が入って欲しいと思う。なにしろキャパシティーは十分にあるのだから。

横浜にいい感じの新店出現 2004年11月

 10月某日、東ジンに1通のメールが届いた。11月に横浜に店をオープンするので、その前にちょっと意見を聞きたいという内容だった。
 このところのジンギスカンブームか、たまにこのような内容のメールをいただくことがある。が、我々はあくまでも単なるジンギスカン好きであって、店を始めるようなプロの人に「あーだこーだ」と偉そうに言うほどのものではない。
 それでもということで開店を数日後に控えたその店に最高顧問と二人で伺った。
 店の名前は「だんだん」。由来は「だんだんよく鳴る法華の太鼓」みたいな末広がる感じと語呂の良さで付けたとのこと。
入り口脇の看板 入り口風景 ここを上へ……。
 店は横浜西口の三越の横を歩いて5分くらい行ったところのちょっと古びた木造2階建ての2階。すぐそばに風俗店の大きな看板があって、これが目印になりそう(新橋の金太郎も最初はそうだったなぁ)。表には小さな看板だけしかないので、ちょっと見落としそうになる。
 鉄製のちょっと心もとない階段を上がっていくと正面と左側に入り口が。正面にはなんの目印もなかったので左側のバーに入りそうになった(今は入り口に東京ジンギス倶楽部と札幌ジンギスカン倶楽部のシールが貼ってあるのですぐ分かります)。
 店内に入ると店長が迎えてくれた。店長はオーナーでもあり、会社員からの脱サラでこの店を始めることにしたとのこと。まだ30代と若いオーナーだ。
店内1 店内2 コンロとジンなべ
 驚いたことに店長は北海道とかジンギスカンに縁のあるところの出身ではなく、ジンギスカン不毛の奈良県出身。もちろん子供の頃に食べたことはなく、就職でこっちに来て初めて食べたのだとか。
 そんな店長がジンギスカン店を始めようと思ったのは、羊肉に惚れ込み、羊肉の美味しさを少しでも多くの人に分かってもらいたいと思ってだという。ジンギスカンが一番安くて庶民的で、みんなに食べてもらいやすいからで、けっして最近のブームに乗って始めたというわけではないらしい。
 内装は木をふんだんに使ったしっとりとした落ち着いた雰囲気。外観の煤けたイメージと違って、カップルで来ても違和感が無さそう。4人掛けのテーブルが4つに6〜8人掛けの丸テーブルがひとつ。カウンターもあり3〜4人は座れそうだが、このカウンターは使わないかもとのことだった。
 今は知り合いや、開店にあたってお世話になった人を招待して、料理の感想や従業員教育をしているのだそうだ。(このとき働いていた笑顔の素敵なアルバイトの娘を、最高顧問はとても気に入っていた。今もいるのだろうか)
ラムのタタキ2種 だんだん炒め ラムシャブ
 羊肉の美味しさを知ってもらいたいという意気込み通り、メニューはバラエティに富んでいて豊富。まずはラムのたたきが出てきた。たたきのみとタマネギのみじん切りがのったものと2種類が出てきた。どっちで出そうか迷っているというので両方食べてみた。タレはしょうが醤油。
 ラムは癖がなくあっさりしているので、タマネギがのっていない方がよく肉が味わえるのではないか、これは醤油よりもポン酢で食べたい。とわがままに言ってみる。すると店長はすぐにポン酢を出してきてくれた。
 このポン酢が東京では手に入らない「旭ポンズ」というスグレモノ。会長宅でも関西から段ボールで送ってもらっている名品だ。さすがは関西出身の店長。美味しいものを知っている。
 ポンズで食べるラムのたたきはさっぱりしていていくらでも食べられそう。
 次に出てきたのが「だんだん炒め」。これは山芋とさやいんげんをあっさりと炒めた中華風の一品。これもさっぱりしていてなかなか美味しい。
骨付きスペアリブ ジンギスカン 焼いている様子
 メインのジンギスカンにいく前にラムシャブをメニューに加えようかどうしようかというので図々しくもそれを出してもらう。このラムシャブは上海に旅行に行った時に食べて美味しかったもので、豆乳でしゃぶしゃぶするタイプ。ラムもただ薄切りにしてあるのではなく、湯波を薄切りラムで巻いてあるという凝ったもの。旭ポンズを付けて食べるとこれがもうなんともいえず美味しい。豆乳がまろやかでラムを上品な味にする。店長は「旭ポンズ」よりも大阪は黒門市場にある「太政」というふぐちり専門店のオリジナルのポンズのほうがパンチがあるので、そちらを使いたいらしい。
だんだんスタッフ 次に出てきたのが岩塩ハーブ焼き。ロースに岩塩とハーブが揉み込んである。シンプルな塩味にハーブの香りがかすかに鼻孔をくすぐり、女性に喜ばれそうな一品だ。
 まだメニューはいろいろあったが、そろそろお腹の方がいっぱいになってきたのでジンギスカンを出してもらう。1人前が130gくらいあって野菜も付いて1人前550円。
 安い!
 炭火ではないものの生ラムでこの値段は、このままやって行けるのか心配になるほどの安さだ。さらに驚いたことにもやしは食べ放題にするつもりだというではないか。

 そんな太っ腹で大丈夫か「だんだん」!!

 ただ、タレが焼き肉風の甘いタレだったので、ジンギスカン風の酸味のあるタレも置いて欲しいと要望した。
 肉自体は横浜の業者から仕入れるオーストラリア産ということだが、1000円前後で出している都内のジンギスカン店と遜色のない美味しい肉だった。

 とにかく横浜に嬉しい店の出現だ。会長はたまにサッカー観戦で横浜競技場に行くので、その折には寄りたいと思う。ぜひ頑張って横浜でのジンギスカンの老舗となって欲しい。
(この日記はオープン前のものでメニューや値段など実際と違っているかもしれないので、また後日レポートします)


東京初のFC店、噂のシステムとは? 2004年12月

 そのシステムに賛否両論を巻き起こすジンギスカン屋がある。
 川崎の店をその発祥とし、浅草橋、銀座、後楽園と現在4店舗。首都圏でのフランチャイズ方式をとったジンギスカン屋の第1号、『やまじん』である。
やまじん店頭 やまじん店内

 都内にいくつかフランチャイズ展開するジンギスカン屋の噂はあるものの、実際にFC展開しているのはまだこの『やまじん』のみ。東ジンの掲示板にはそのシステムの不満が書き込まれることが多い。
 実際にどんなシステムなのか。
 会長は勤め先のそばにある銀座店に2度行ったことがあるのだが、2回とも満員で入れなかった。つまり、大盛況である。
 東ジンの掲示板に書き込んでくれる人はわりとコアなジンギスカン好きが多いのだが、ジンギスカン好きには嫌われて、一般人には受けるシステムでもあるのだろうか。

 そんな疑問を持っていたある日、会長の通勤路の後楽園にも店ができたので、さっそく最高顧問と連れ立って行ってみた。
 開店してまだ間がないその店は、我々が行った時にはお客はまだ誰も入っていなかった。店の外に赤い地に白い文字で「ジンギスカン」と書かれた幟がよく目立つ。場所は春日の交差点にあり、立地条件は申し分ない。
 店内には初老のおばさんと30代のお兄さんの二人が、所在なげに立っている。我々が入るとお兄さんの方が「いらっしゃいませ」と元気な声で我々を迎えてくれた。
 白木を使った内装で広さとしては30人は入れそう。椅子が物入れにもなっていて、そこに服などを入れるようになっている。炭火ではなくガスコンロで鍋は穴なしのオーソドックスな鍋。
 このお兄さんがまずシステムの説明をしてくれる。
 そのシステムはこうだった。

券売機 陳列棚

●すべて食券制でまず食券を券売機で買う。
●その食券をカウンターの指定の場所に置き、肉や野菜を冷蔵棚から自分で出してテーブルに持っていく。
●ビールなどの飲み物もジョッキを自分で取りに行き、サーバーから自分でつぐ。
●タレもカウンターの所定の場所においてあるものを自分で持っていく。
●食べ終わったら食器や箸などを返却口に持っていく。

 要するに、コンロと鍋以外はすべて自分たちで持っていったり片づけたりする、徹底したセルフサービスの店であった。
 まず、このシステムの説明を陽気に語ってくれるのだが、フランチャイズだけにマニュアル通りという感じで押しつけがましい。
 ビールをサーバーから注ぐのも、最初はお客が我々しかいないのだから見本を見せてくれてもいいと思うのだが、説明はしてくれるが一切やってくれない。おかげで最高顧問は1杯目は半分以上が泡だらけのビールを飲む羽目になってしまった。
 このビール、当日は開店サービスで半額の100円、通常料金でも200円という安さ。たとえ半分が泡になってしまったとしても、ビール好きの最高顧問には嬉しい値段設定である。

野菜盛り 羊肉2人前

 ジンギスカンは1人前800円。ところが券売機には2人前からしかない。つまり、イヤでも最初は1600円で肉を買わなくてはいけない。さらに野菜はセットではなく別売りで盛合せ1000円しかない。つまりジンギスカンをこの店で食べようと思ったら最低でも2600円払わなくてはいけないのだ。肉は1人前100gほど。
 人手を減らしてコストを下げるにしてはこの値段はちょっといかがなものか。確かにこのシステムは安いようで高いかもしれない。
 肉は皿に乗った状態で冷蔵棚に入っているので、ちょっと乾燥しはじめているようにも見える。味は最近の生ラムを出す店と比べて可もなく不可もないオーソドックスな味わい。タレも醤油の味がしっかりしたオーソドックスなジンギスカンのタレだった。

 店長は初老のおばさんで、もともと北海道に住んでいたのだが、娘が東京に嫁いで孫の顔を見に東京に出てくるうちに、面倒なので東京に移り住もうかと考えていたところに「やまじん」の社長と知りあって、フランチャイズでこの店を始めることにしたとのこと。
 このおばちゃんが話してみると、とても人柄のいいおばちゃんで好感が持てた。若いお兄さんは息子さんで、この店のために一緒に北海道から出てきたんだそうだ。
 休日は家族連れも多く来てくれて、このシステムは家族連れに好評だということだ。確かに子供は楽しいかもしれない。勝手知ったるサラリーマンのグループなら気兼ねなく自由にできていいかもしれない。
 結局我々は肉4人前と野菜とやまじん漬けという漬物にビール2杯、それに会長はご飯を食べて店を出た。1人2500円くらい。もう少し肉が食べたいところだったが2人前づつというところにどうも抵抗があってやめてしまった。
 食器を片づけるときもそれはそこ、これはここに置けというけれど一切手伝ってくれない。そのかわりというのか、店を出るとお兄さんが後ろを追いかけてきて火打ち石を売って「またお越しください〜〜!」と元気よく見送ってくれた。(そんなことしてくれるなら、食器の片づけを手伝ってくれよ、と思う)
 
 これはこれで有りかなというシステムではあったが、何か心にトゲが刺さったような気がする。何だろうとよくよく考えてみたら、店の人がどうもマニュアル通りというか、お役所仕事のようで融通がきかない。開店間もないということもあるのかもしれないけど、店の人が説明も対応もマニュアル通りにやろうとしすぎて、顔がお客の方を向いていない。もうちょっと温かみのある対応をしてくれたらイライラしないだろうになぁと思う。なにしろおばちゃんは人柄はとてもいい人なんだから。


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