ジンギス日記の更新が途絶えて6年、久々に日記も更新しようと会長と代表(旧最高顧問)が取材食べ歩きを再開したのが2011年2月。足を向けた先は門仲の新店「ヂンギス邸」。しかし会長の手による訪問記をテキストで受け取り、HPに反映させようとしていた矢先に東日本大震災が発生。世は未曾有の大混乱に巻き込まれ、更新担当の代表も気もそぞろになって受け取ったテキストもお蔵入りの状態になってしまった。それからさらに5年、このままではいかん、とその際のテキストを引っ張り出し、訪問記として以下にまとめました。新規更新ではありますが情報は5年前のもの、その点はご了承ください。


 

気がつけば幾星霜、門仲の新店を訪ねる 2011年2月

 ジンギスカンブームの波に飲み込まれてマスコミからの取材依頼が殺到し、1日4軒のはしごなどという日もしばしば。とても悠長に日記を書いてる暇がないと日記が途絶えて早6年。
 ブームは去り、東ジン経営のジンギスカン店「ひつじぐら」も閉店し、東ジンの活動もなりを潜めていた。
 しかし、ブームが去ったとはいえジンギスカンの種は確実に芽を出し、チラホラと新しいジンギス店もオープンしている……。
 
 2011年初頭、代表から会長に送られてきた年賀状には、満を持したようにこんな言葉が大書されていた。
「今年からまたジンギスカンの食べ歩きを復活しよう!!」
 
 そんなわけで日記復活の第1弾に選んだ店は2010年10月に門前仲町にオープンした「ヂンギス邸」。
 この店は神田の「ヂンギス王」にインスパイアされて、店主が一念発起してオープンしたというこだわりの店とのこと。
 ただ、東ジンの掲示板に書きこまれた情報によると、金曜日の夜でもガラガラであまり客が入っていないらしい。そこで2月末の金曜日、会長と代表、それにジンギス好きの友人オグサク君の3人、門前仲町駅で待ち合わせをして予約なしで「ヂンギス邸」に向かった。
 店は地下鉄東西線の門前仲町駅から歩いて2−3分のとても立地のいいところ。ガラガラだろうとタカをくくって店を覗き込んで驚いた。満席なのである。店は1階と2階があるがどちらもいっぱい。かろうじて2階の一角に3人分の席を作ってもらう。
 狭いながらもジンギスカンを応援する東ジンとしては、繁盛している証しだけに嬉しい狭さだ。
 メニューを見る。
 まず目に入ってくるのが「コース料理」の文字。内容は●ほうれん草とベーコンのサラダ、●ラムのたたきポン酢和え、●ラムタン、●ラムベーコン、●ラム肩ロース、●F1サフォーク肩ロース、●野菜セット、●ライス、●デザート以上9品で3,000円。このコースを頼めばヂンギス邸の魅力がほぼ味わえる構成となっている。プラス1,500円で飲み放題にもできる。
 他にジンギスカンセット(野菜3種盛り+ラムもも肉)850円、単品でラムのたたきポン酢和え650円、前菜・サラダは枝豆300円、キムチ300円、自家製漬物350円、コースにも入っていたほうれんそうとベーコンのサラダ350円、ポテトサラダ350円など。
 肉類も充実していてショルダー650円、肩ロース650円、F1サフォーク肩ロース850円、ショートロインステーキ1,000円、変わったところではラムタン850円、ハツ650円などがある。嬉しいことにマトンのロール650円とマトンのロース650円もある。
 飲み物もビール(エビスの樽生)、サワー、お茶割り、芋、麦などの焼酎、カクテル、ワインと充実している。

 まずはビールを注文し、前菜にとラムのたたきポン酢和え、ラムソーセージとフランクのセット、ラムベーコン、ほうれんそうとベーコンのサラダを頼む。
 ビール到着。さっそく3人でジンギス食べ歩き復活を祝って乾杯。
 ングッングッと冷たいビールがノドを通る。プハーッうまい!
 ほうれん草とベーコンのサラダとたたきが来る。ほうれん草は生だけどエグ味がなく肉厚の葉っぱがシャキシャキしてうまい。ドレッシングも醤油ベースでカリカリのベーコンとの相性もバッチリ。ラムのたたきは2センチ角くらいの角切りでクセがない。玉ねぎのスライスが乗っていてポン酢とよくあう。ベーコンは脂身がなくヘルシーだけど羊の香りがしないのでちょっと物足りない。ソーセージは焼いたほうが美味しいというお店の人の勧めで後で持ってきてもらうことにした。
 なかなかジンギスカンを頼まない我々を不審に思ったのか、女将さんがしきりに我々のところへやってきてまだジンギスカンはいらないか、タンも美味しいよと勧めてくる。その言葉を制してしばらく前菜を楽しんだあと、いよいよ焼き物を注文する。
 タンはもとよりラムのハツというのは食べたことがなかったのでそれを頼む。他にジンギスカンセット2人前、ショルダー、肩ロース、ショートロインステーキ、マトンロースを注文。
 七輪に乗せられたジンギスカン鍋が登場。鍋は穴あきタイプ。すでに野菜が盛られている。鍋に塗る脂はちゃんと羊の脂を使っている。こんなところにもこの店のこだわりがうかがわれる。
 野菜を鍋の淵に寄せて脂を鍋にぬり、まずはタン塩を乗せる。
 残念、タンが冷凍のせいかジューッという幸せの音が聞こえない。食べ歩き復活第1回目としてはとんだ失態を犯してしまった。
 タンはさっぱり。振ってある塩もやや茶色がかった岩塩風でミネラルがたっぷり入っている感じで味がいい。
 ハツは一口噛むとサクっとして歯ざわりがいい。噛んでいくうちにジワッとやや血のような味がしてちょっとクセがあるが、ホルモン系が好きな人にはお薦めの一品。レバーがダメな会長もこれは気に入った。
 ラムソーセージはピリっと辛いスパイシーな味わいでチョリソという感じ。フランクは行者にんにく(アイヌネギ)が入っていてこれも美味しかった。
 そしていよいよジンギスカン。まずはセットのラムのもも肉を焼く。この店は基本1人前5切れで肉の暑さは6−7ミリといったところ。
 この店のタレは酸味が抑えられていてさっぱりしている。ワインも入っているだろうか、オリジナル感がよく出ていて美味しい。 
もも肉は脂身が少なくヘルシー。女性にはウケがいいだろうけど、歳をとってもギトギト好きの東ジンにはちょっと物足りない。
 次にショルダーと肩ロースを乗せる。こちらは適度に脂がのっていて我々好み。肉は柔らかくクセがなく万人向き。肉はオーストラリアとニュージーランド両方使っているのだそうだ。肩ロースがこの値段はかなり良心的。
 続いてマトンロース。肉はラムよりも赤みが濃く、羊の香りも強い。東ジンとしてはラムよりもマトンが好きなのでマトンが置いてあるというだけで嬉しい。当然うまい!
 さらにマトンロールと野菜セットも頼む。野菜セットは玉ねぎ、長ネギ、もやしの3種類がドサっと入っている。この3種類は組み合わせ自由で、例えば玉ねぎ1、もやし2とか玉ねぎと長ネギを半々でとかでも頼めるそうだ。北海道出身の最高顧問にとってマトンロールは故郷の味。出てきた肉は厚さが2ミリないくらいで慣れ親しんだものよりもけっこう薄い。それが1人前で6枚。味は昔食べた臭さがなくとても上品な味わい。オグサク君はうまいうまいと食べていたけれど最高顧問はあの臭さが身に染み付いているせいかやや物足りない顔をしていた。
 店内満席で忙しいのか、注文を忘れられていたショートロインステーキがようやく到着。長さ7センチ幅2センチ厚さ2センチくらいの大きさの肉が3切れ。忘れていたお詫びにちょっと大きめにカットしてくれたとのこと。
 「この他にもメニューに載せてない裏メニューのいいお肉があるから、今度来たら教えるわね。」と肉を持ってきた女将さんが言う。なかなか商売上手だ。
 脂身はなく軽く焼いて齧り付く。前歯で噛むとサクっとして実に歯切れがいい。肉汁がジュワッと出てきてうまい。塩をちょっと付けるとさらにうまい。ただ、いい部位なんだろうけど3切れで1,000円は他のメニューがリーズナブルだけにちょっと高く感じられる。

 今日は予約の団体客が入ったから満席で、いつもはそうでもないと女将さん言っていたけど、どうしてどうして、お勘定を済ませて店を出た10時頃でもお客を断るくらい繁盛していた。
 珍しい部位を出しマトンも置いてある、こだわりを持つこの店は今後とも長く続いていって欲しい。

チンギス邸テーブル

 




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